十字架の道行(御聖堂の壁面に飾られています)

『北白川教会けやき木彫り十字架道行に寄せて』

 

 かねてより、ナドウ神父さま(先々代主任司祭)から十字架の道行きを依頼されていました。このほどやっと完成いたしましたが、製作期間中約1年あまり精神的に大変充実した時を過ごせたことは、ありがたいことであったと神に感謝しております。それは、誰のために作るのではなく、まったく自分自身のためにひたす ら祈りの中にすごせたことです。主の聖跡を自らの手で彫り起こすとき、言い知れぬ熱い思いがこみ上げてまいりました。このようなチャンスを下さったナドウ 神父様に感謝しております。どこの場面にもそれぞれの思いはありますが、特に(Ⅰ)最後の晩餐(Ⅱ)ゲッセマネ(Ⅲ)裁判を受けるイエス(ⅩⅣ)復活、は自分でも気に入っております。最後の場面は、木質が特に硬くノミを何度も研ぎ、途中第2指を4針も縫う怪我をするアクシデントもありました。復活を軽々しく口にされる人もいるようですが、現世をいかに生きるか、いかに生きたのか、の大事さを復活に結びつけその重大さに粛然とせざるを得ません。

 

セバスティアン松田 熈

 

引用:1997年10月12日初版発行 北白川教会パンフレット/ドン・ボスコ社出版

イエス様の受難を偲び、復活への希望を想い、受難から復活までの軌跡を追いながら信仰を強める祈りが十字架の道行です。


以下は、教会御聖堂の壁面に飾られているレリーフであり、当教会独自のものです。
ぜひ、機会があれば、実際にお越しいただきお祈りください。

1 イエスの最後の晩餐

 

イエスは弟子たちにパンを与えてこう言われた。「これはあなたがたのために与えられるわたしの体である」杯も同じようにして「この杯は、あなたがたのために流されるわたしの血による新しい契約の血である」と言われた。
(ルカによる福音書22:19~20)


《祈 り》
主イエス、私たちが飢えている人々とパンを分かち合いますように。主イエス、私たちが弱い人々を助けに行けますように。主イエス、人々が地上に平和を確立しますように。

2 イエスの苦悩と遺棄


イエスは苦しみもだえ弟子たちの所へ来られたが、彼らは眠りこけていた。「父よ、御心なら、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの願い
ではなく、御心のままに行ってください」

(ルカによる福音書22:42~45)


《祈 り》
主よ、苦悩と誘惑の時を如何に生きねばならないかを私たちに教えて下さい。
主よ、苦悩と誘惑の時に祈ることを私たちに教えて下さい。
主よ、苦悩と誘惑のなかにいる人々を助けることを私たちに教えて下さい。
主よ、誘惑と落胆のうちにある人々を助けることを私たちに教えて下さい。

3 イエスの宗教裁判


大祭司はイエスに言った。「お前が神の子、メシアかどうか生ける神に誓って我々に言え。」イエスは答えられた。「あなたの言う通り」と。すると大祭司は衣
を引き裂いて言った。「この人は冒涜の言葉を吐いた。」
(マタイによる福音書26:63~65)

 

《祈 り》
主よ、私たちが命である愛のよきおとずれを宣べ、証しすることを決して妨げないよう、愛のしるしを識別することを得させて下さい。そして、私たち自身も、この愛に生きるために自我に捕らわれない者として下さい。私たちが世間の偏見に振り回されないように、勇気と力をお与え下さい。

4 イエスの人民裁判(ピラトの前に)


ビラトが「お前はユダヤ人の王なのか」と尋ねると、イエスは答えられた。「私の王国はこの世のものではない」「では、お前はやはり王なのか」「私は王である
とあなたが言っているのだ。私は真実を証明するためにこの世に来た」
一真理とはなにか-
(ヨハネによる福音書18:33~37)

 

《祈 り》
神の真実を生きるように私たちを助けて下さる人々と共に生きることができますように。又、疑いのある人々にこの真実を示すことができますように。真実の源であるあなたにお願いいたします。

5 イエス、いばらの冠をかぶせられる


兵士たちはイエスに緋色のマントを着せ、いばらの冠をかぶせた。芦の棒で頭をたたき唾を吐きかけた。

(マルコによる福音書15:17~19)

 

《祈 り》
そうです、イエスは私たちの王。彼はいばらの冠を戴き、むち打たれた。イエスは弱きを受け入れられた。イエスは貧しいものと共に貧しいものとなられた。イエス、
来て下さい!私たちの涙の中に住むために、私たちの傷の痛みに耐えさせるために私たちの苦しみの近くに、あなたは私たちの王ですから!

6 イエス、十字架を担わされる


イエスは自ら十字架を担い、ゴルゴダに向かって出て行かれた。「誰も私から命を奪いはしない。私が自ら命を捧げるのである。』
(ヨハネによる福音書19:10、18)

 

《祈 り》
イエスと私たちの十字架を受け入れるしるしとして、十字架の方に腕を上げ手をさしのべよう。受け入れたくない私たちの生活の中の苦しみを捧げよう。

7 一人のクレネ人がイエスを助ける


イエスを引いていく途中、田舎から出てきたシモンというクレネ人を捕まえて、十字架を背負わせイエスの後からこれを違ばせた。
(ルカによる福音書23:26)

 

《祈 り》
主よ、苦しんでいる人々に助けの手をさしのべるときに出会う困難の前に退かないようにしてください。人々に仕えたいとの望みを私たちの中に絶えず新た
にしてください。偏見や先入観で見えなくなった私たちの目を拭ってください。あなたが既にされたように私たちの手に、世話し、いたわる力を与えてください。これらすべての行いが,無償の愛をもっているすべての人々に、あなたの愛の表れとなりますように。

8 イエスは婦人連を慰められる


十字架を担っておられるイエスを見て婦人らは胸を打ち、イエスのことを嘆き、悲しんだ。イエスは彼女たちに言われた。「私のために泣かないように、むしろあなた方自身とあなたの子ども連のために泣きなさい。
(ルカによる福音書23:27~為)

 

《祈 り》
主イエス、すべてが私たちをあなたから遠ざけようとするとき、あなたを見分けるために十分に正直でありますように。あなたの名のために迫害されている人を見るとき、私たちも涙を流すことができますように。

9 イエス、十字架に釘付けされる


兵士らはイエスを十字架に釘付け、又二人の強盗を、一人は右に一人は左に付けた。通行人や律法学者たちはイエスをあざけって言った。「あの男は人を救ったが自分自身を救えない」
(マルコによる福音書15:27/ルカによる福音書23:罰)

 

《祈 り》
主イエス、あなたはご自分の手の肉のなかに打ち付けられる釘を受け入れられました。この行為によって、あなたが心から人間を愛しておられることを示して下さっているのです。まわりのすべての人のために自分の命を捧げたいという心を私たちのうちに新たにしてください。

10 イエスと良き盗賊


イエスの右に十字架に付けられていた1人の盗賊はイエスに「あなたが王として来られるとき私を思い出してください。」と言った。イエスは「はっきり私はあ
なたに言う。今日あなたは私と共に楽園にいるだろう」と答えられた。
(ルカによる福音書23:42~43)

 

《祈 り》
主よ、あなたの許しの言葉を私たちに聞かせてください。
主よ、いつも他の人々を許す望みを私達の内に目覚めさせて下さい。
主よ、私たちがあなたからそれて行くことがないように、十分な敬具の心をお与え下さい。主よ、いつかあなたと共に生きる喜びを私たちにお与え下さい。

11 マリアとヨハネ、十字架の下に立つ


イエスの十字架の傍らに、その母が立っておられた。イエスは「婦人よ、これはあなたの子です」とヨハネについて言われた。又、弟子ヨハネには「この方はあなたの母です」と言われた。
(ヨハネによる福音書19:26、27)

 

《祈 り》
主イエス、あなたはご自身の御母を私たちの母として下さいました。御母が、あなたの命を生きることを、あなたの心に「はい」と言うことを私たちに教えて下さいますように。何故なら、御母にとってあなたの意志を行うより以上に大切なことはないからです。

12 イエス、十字架上で息を引き取る


イエスは大きな叫び声を上げて、息を引き取られた。イエスの正面に立っていた兵士はイエスがこのようにして死なれたのを見て、「本当にこの人は神の子だ」と叫んだ。
(マルコによる福音書15:37、39)

 

《沈黙(反省)》
イエスについて私たちは何を知っているだろうか。イエスのメッセージを私たちは解っているだろうか。この愛に対して、私たちは「はい」と言うことができるだろうか。私たちが祈るとき私たちは誰のことを考えているのだろう。私たちの行いはイエスが神であると世の人々に宣べ伝えているだろうか。

13 イエス、墓に納められる


イエスが十字架に付けられた所には園があり、その中に誰もまだ葬られたことのない新しい墓があった。そこにイエスを葬った。

(ヨハネによる福音書19:41)

 

《祈 り》
主よ、死のあともあなたは貧しく生きられました。あなたは、ご自分のものでない墓に葬られ、婦人たちはあなたに香料を塗る時間もありませんでした。厳しい寒さに日々家族を失って苦しんでいた人々に友情と励ましを与えることが出来ますように。何故なら墓は、死が死の業を行ったしるしだからです。

14 イエス、復活される


天使は婦人らに言った。「あなた方は十字架に付けられたイエスを捜していることを知っています。彼はここにおられません。かねて言われた通り、復活されたからです。急いで行って、弟子たちに言いなさい。rイエスは死者のうちから復活された。そして、あなた方より先にガリラヤに行かれる。そこであなた方はイエスに会えるでしょうと。」 (マルコ16:6、7)

 

《祈 り》
御子を復活させて、その力を表された父なる神は祝福されますように!あなたの復活によって私たちに希望を与えてくださった御子イエスは祝福されますようにl主イエスは祝福されますように!あなたの復活は私たちの希望となりました。主は祝福されますようにlあなたの新しい命は永遠の命、希望を与えてくださいました。私たちの日々の生活がこの希望を物語るものでありますように。そしてこの希望があなたの愛の喜びと人々への奉仕のうちに常に新たにされますように。